結婚相談所でお見合いを重ねているのに、毎回フィードバックが「いい人だけど…」で終わる。断られた理由がわからないまま、また次のお見合いに向かう。そんなループにハマっている男性は少なくありません。
筆者は結婚相談所のアドバイザーとして12年、4,000名以上の婚活をサポートしてきました。はっきり言います。「いい人だけど」は、褒めてもいないし、否定もしていない。相手の印象に何も残らなかったということです。これは段取りの問題であって、性格やスペックの話ではありません。
IBJ成婚白書2024年度版によると、お見合いから仮交際への移行率は成婚者で約40%、途中退会者で約20%。この差を生んでいるのは容姿や年収ではなく、お見合い60分間の会話の質だと数字が示しています。数字で見ましょう——印象に残らない会話のままでは、10回お見合いしても仮交際に進めるのは2回。会話を変えれば4回に増える。この差は半年後の成婚に直結します。
「いい人だけど…」が意味していること
「いい人だけど」というフィードバックを受け取ったとき、多くの男性は「自分のどこが悪かったんだろう」と悩みます。でも実態は違う。悪いところがないから断られている。正確に言えば、良いところも悪いところも印象に残っていないのです。
お見合いで会う相手は、あなた以外にも複数の男性と並行してお見合いをしています。IBJ成婚白書2024年度版のデータでは、成婚者の女性は活動期間中に平均10〜14回のお見合いを実施しています。つまり相手の女性の中で、あなたは「10人の中の1人」として記憶される。その中で「もう一度会いたい」と思わせるには、当たり障りのない会話では足りません。
相談所で4,000名超のデータを見てきた実感として、仮交際に進めない男性の会話には3つの共通パターンがあります。
印象に残らない会話の3パターン
パターン1:エコー返し
「旅行が好きなんです」と言われて「旅行いいですよね」と返す。「最近パン作りにハマってて」に「パン作り、いいですね」。相手の言葉をそのまま繰り返すだけの会話です。
本人は共感しているつもりでも、相手から見ると輪郭のない人にしか映らない。共感と反復は違います。「いいですね」を10回言っても、その人がどんな人間なのかは1ミリも伝わりません。
パターン2:質問マシン
「ご出身は?」「お仕事は何を?」「休日は何をされてますか?」——プロフィールに書いてある情報を上から順に聞いていくパターン。会話の主導権を握っているようで、やっていることは面接官と同じです。
相手は「聞かれたから答えた」だけで、楽しかった記憶が残りません。質問の量と印象の深さは比例しない。むしろ反比例することのほうが多いです。
パターン3:感想が「いいですね」しかない
相手が「先月、京都で抹茶のかき氷を食べたんです」と話してくれたのに、「いいですね」で終わる。これが一番もったいない。相手はわざわざ具体的なエピソードを出してくれている。そこに乗らないのは、パスをもらったのにシュートを打たないのと同じです。
「宇治の茶寮ですか? 筆者も去年の夏に行って、ほうじ茶パフェを食べました」——こうやって自分の体験を1つ返すだけで、会話は「情報交換」から「体験の共有」に変わります。
仮交際に進む印象の残し方3つ
ここからは、印象に残る会話に切り替えるための具体策を3つ紹介します。
コツ1:具体名詞を3つ準備してから行く
お見合いの前日に、自分の話で使える具体名詞を3つ決めておきます。たとえば「代々木公園」「肉じゃが」「ロードバイク」のように、固有名詞や具体的なモノの名前です。
「休日は何をしていますか?」と聞かれたとき、「のんびりしています」ではなく「天気がいい日は代々木公園までロードバイクで走って、帰りに豆を買って帰ります」と答えられる。具体名詞が入ると、相手の頭に映像が浮かぶ。映像が浮かぶと記憶に残ります。
筆者自身もロードバイクに乗るのですが、走り始めの5kmが一番きつくて、10kmを超えると身体が温まって気づけば50km走り切っている。お見合いの会話も同じで、最初の具体名詞を1つ出すまでが一番しんどい。でも1つ出せば、そこから会話が転がり始めます。
コツ2:「合わせない瞬間」を1回つくる
全部合わせる会話は、共感ではなく輪郭の消失です。お見合い中に1回だけ、あえて自分の意見を出してみてください。
たとえば相手が「猫派です」と言ったとき、犬派なら「自分は犬派なんですけど、猫のどういうところが好きですか?」と聞く。合わせないけど否定もしない。違いを出した上で相手に興味を示す。
この「合わない1点」が逆に記憶に残ります。10人全員が「僕も猫好きです」と言う中で、「犬派だけど猫のどこが好きか聞いてくれた人」は確実に印象に残る。合わせるのは3割、自分を出すのが7割——この配分が仮交際に進む人の共通点です。
コツ3:最後の3分で「次に会いたい理由」を1つ伝える
お見合いの終わり際に、「今日お話しして、〇〇のところが印象的でした」と具体名詞を1つ入れた感想を伝えます。「楽しかったです」だけだと社交辞令。「京都のかき氷の話がすごく楽しかったです。他にもおすすめの甘味があったら今度教えてほしいです」まで言えたら、相手の記憶に「この人は私の話をちゃんと聞いてくれていた」と刻まれます。
ピーク・エンドの法則——人は体験の「一番盛り上がった瞬間」と「最後の瞬間」で全体の印象を決める。お見合いの最後の3分は、60分間の印象を塗り替える力を持っています。
明日のお見合いまでにできる5分の段取り
まず期限を切りましょう。次のお見合いから実践です。前日の夜か当日の朝に、5分だけ時間を取ってこの3つを準備してください。
- 自分の具体名詞を3つメモする(趣味・最近食べたもの・行った場所など)
- 相手のプロフィールから質問を2つ考える。ただし「〇〇が好きなんですか?」ではなく「〇〇を始めたきっかけは?」のように背景を聞く質問にする
- 最後の一言テンプレを1つ決めておく。「今日一番印象に残ったのは〇〇の話です」の〇〇を、お見合い中に埋めるつもりで臨む
これだけで十分です。完璧な準備は要らない。ロードバイクのルート選びと同じで、走り始めてから迷うと最初の5kmで止まってしまう。5分の段取りで、お見合いの60分が変わります。段取りの問題です。
IBJ成婚白書2024年度版のデータでは、成婚者は途中退会者と比べてお見合い実施回数が男性で約4倍、女性で約2.5倍。行動量も大事ですが、1回あたりの会話の質を上げれば、同じ行動量でも仮交際に進む確率は変わります。数字で見ましょう——移行率を20%から40%に上げれば、必要なお見合い回数は半分で済むのです。
FAQ
お見合いの会話で沈黙が怖いのですが、どうすればいいですか?
沈黙を埋めるために質問を連発するのは逆効果です。具体名詞を3つ準備しておけば、沈黙が来たときに自分の話題として出せます。沈黙は「次に何を話そう」ではなく「準備した3つのうち、まだ出していないものはどれか」で乗り切れます。
仮交際移行率40%はどのくらいの水準ですか?
IBJ成婚白書2024年度版によると、成婚者の仮交際移行率は約40%、途中退会者は約20%です。10回お見合いして4回仮交際に進めれば成婚者の水準。2回以下なら会話の改善が必要なサインです。
相手のプロフィールに情報が少ない場合、何を話せばいいですか?
プロフィールが薄い場合こそ、自分の具体名詞が活きます。「最近〇〇に行ったんですけど」と自分から話を出して、相手に「あなたは?」と聞く。自分の話を先に出すと、相手も話しやすくなります。質問で引き出すより、自分を見せて相手の話を引き出すほうが自然です。
「合わせない瞬間」で相手に嫌われませんか?
意見が違うことと、相手を否定することは別です。「犬派なんですけど、猫のどこが好きですか?」は否定ではなく興味。違いを出した上で相手に質問する形にすれば、印象に残るだけで嫌われることはありません。
何回お見合いしても仮交際に進めません。相談所を変えるべきですか?
相談所を変える前に、まず自分の会話パターンを振り返ってください。お見合い後に「今日使った具体名詞の数」「相手の話で覚えている固有名詞」を1行メモする習慣をつけると、改善ポイントが見えてきます。3ヶ月続けて変化がなければ、そのときにカウンセラーと一緒に相談所の見直しを検討しても遅くありません。
参考文献
- IBJ成婚白書 2024年度版 — 株式会社IBJ, 2025年4月
- お見合いから仮交際への確率|仮交際NGされる理由と改善策 — 森とうマリッジデザイン
- 婚活実態調査2024 — 株式会社リクルート, 2024年9月





