「職業や年収、正直に書かないほうがいいですか?」。婚活相談の現場で、12年間、毎月のように受ける質問のひとつだ。
フリーランスだから。年収が低めだから。職業がニッチすぎて伝わらないから——理由はさまざまだが、「非公開が安全策」という思い込みは、ほとんどの場合で間違っている。
4,000名超の婚活相談者を見てきた経験から言えば、職業・年収欄の扱い方を間違えて機会を損失しているケースは、想像以上に多い。数字で見れば答えは出る。段取りの問題だ。
「非公開」は安全策ではなく、不信感のトリガーになる
まず、女性側の視点を把握しておこう。
タップルが2025年7月に実施した1,022名対象の調査によると、年収証明マークがあることで「信頼感が増す」と回答した女性は76%に達した。これは裏を返すと、年収欄が空欄や非公開の場合、多くの女性が何らかの「引っかかり」を感じる可能性があることを意味する。
婚活アプリや真剣な出会いを求めるプラットフォームでは、この傾向がとくに強い。結婚を意識して使っているユーザーが多いため、経済的な安定性への関心が恋活アプリより高い。「何も書いていない」は、女性目線では「何かを隠している」というサインに映りやすいのだ。
実際、相談現場でも「非公開をやめて年収を記入したらいいね数が増えた」という事例は珍しくない。数字そのものより、「正直に書いた人」という誠実さの印象が先行するからだ。
もちろん、年収や職業がハイスペックなら開示したほうがいいのは当然だ。問題は、低いとき・職業が伝わりにくいときに、どう書くか。そこに戦略がある。
開示・非公開・ぼかし表現——3パターンの特徴と使い場面
選択肢は大きく3つある。それぞれの特徴を整理しておこう。
① 正直開示
実態に近い数値や職業名をそのまま記載する。信頼感が最も高く、検索フィルターでも除外されにくい。年収が低めでも「書いている人」という誠実さが評価されることがある。
② 非公開(空欄 or「非公開」選択)
リスクが最も高い選択だ。女性目線では「何か隠している」と受け取られやすい。やむを得ず非公開にする場合は、プロフィール文で「職種がニッチで伝わりにくいため、ぜひメッセージで話しましょう」のような一文を添えることで、不信感を和らげることができる。
③ ぼかし表現(帯域選択)
多くのアプリでは「300〜400万円」のような選択肢が用意されている。この場合、実態に近い帯域を選ぶのが基本だ。「年収450万円なのに300万円台を選ぶ」のはもったいない。逆に「600万円台なのに500万円台を選ぶ」程度のマージンは問題ない。職業欄も同じ考え方が使える。選択肢に合致するものがなければ「最も近い選択肢+自己紹介文で補足」という組み合わせが有効だ。
職業タイプ別の書き方ガイド
よくある職業タイプ別に、具体的な書き方を整理する。
会社員(大企業・安定した企業)
基本的に正直に書く。「○○株式会社」とそのまま書くより、「IT系商社 営業職10年目」のように職種と経験年数を添えると具体性が増す。企業名より「何をやってきたか」が伝わる書き方を優先したい。
フリーランス・個人事業主
「フリーランス」とだけ書くのが最もリスキーだ。女性側には「収入が不安定」「社会的信用が低い」という先入観が働きやすい。「Webデザイナー(独立6年目)」「コンサルタント(フリーランス・前職IT業界)」のように、職種名を先に出す。独立前のキャリアを自己紹介文で添えると、安定感と専門性が同時に伝わる。
「フリーランス」は職業ではなく働き方の形態だ。職種名なしで「フリーランス」と書いた場合、相手はイメージを作れない。記載順序は「職種名→雇用形態」の順で。
ニッチな職種・伝わりにくい業種
「なんとなくわかる言葉」に言い換えることを躊躇わないでほしい。「漁師」なら「水産業(自営)」、「声優」なら「声優・ナレーター(フリーランス)」、「ゲームプランナー」なら「IT・ゲーム業界 企画職」。正確な肩書きより、相手が想像しやすい表現を優先する。
年収が低め(300〜400万円台)
正直に記載した上で、自己紹介文で文脈を補足する。「現在は○○のキャリアを積んでいる段階で収入はまだ低いが、○○に向けて取り組んでいる」のように、現在地と方向性を示す。数字で見ると年収350万円でも、誠実な補足文があるかどうかで相手の受け取り方はまったく変わる。これは段取りの問題だ。
迷ったときの判断基準3つ
上記を読んでもまだ迷っているなら、この3つを順番に確認してほしい。
基準①「正直に書いた場合、恥ずかしい数字や職業か?」
「恥ずかしくない」なら即開示。迷う必要はない。「恥ずかしい」と感じるなら、それが自己評価の低さなのか・実際の懸念なのかを分けて考える。自己評価の低さなら、書いてみてから反応を見るほうが早い。
基準②「フリーランス・ニッチ職種なら、職種名を先に書いているか?」
書いていなければ今すぐ修正する。「フリーランス」だけ書かれたプロフィールは、検索フィルターでも職種ごとに絞ることが難しく、相手に具体的なイメージを持ってもらえない。職種名+独立年数のセットに変えるのが最初の一手だ。
基準③「年収が低い場合、プロフィール文で一文補足しているか?」
していないなら今日中に一行追加する。数字が低くても、文章の誠実さで印象は変わる。数字で見ましょう、というのは「スペックだけで判断される」という意味ではない。「自分の状況を客観的に把握して、補足すべき場所を特定する」ための方法論だ。
この3つを確認して修正したら、1週間の反応数(いいね・マッチング数)を記録してほしい。変化があれば効いている証拠。変わらなければ、写真や自己紹介文側に改善余地がある。まず期限を切ろう。今日修正して、来週の同じ曜日に数字を比較する。それだけでいい。
FAQ
年収を正直に書いたら、年収目当てで近づいてくる人が増えませんか?
年収目当てのアクセスが増えたとしても、その後のメッセージや会話で選別できます。非公開にして出会いの機会を減らすより、開示して数を増やし精度で絞るほうが合理的です。婚活は分母の件数が成果に直結します。
フリーランスと正直に書くと、絶対に不利になりますか?
「フリーランス」だけ書くと不利になりやすいのは事実です。ただし、職種名+独立年数を添えれば印象は大きく変わります。「Webエンジニア(フリーランス独立5年目)」なら安定性と専門性が同時に伝わります。職種名を先に出すことが最大のポイントです。
アプリによって職業・年収欄の影響の大きさは違いますか?
アプリによって重みは異なります。婚活系(ゼクシィ縁結び・Omiai・withなど)では条件検索の重みが大きく、年収・職業がフィルターとして機能しやすい傾向があります。恋活系では写真と自己紹介文の比重が相対的に高くなります。使うアプリが婚活寄りか恋活寄りかによって、記入の戦略を調整することをおすすめします。
職業欄に「その他」を選ぶのはよくないですか?
非公開と同程度のリスクがあります。「その他」は相手が職業をまったくイメージできない状態を作ります。選択肢に当てはまる職種がなければ、最も近い選択肢を選び、自己紹介文で職種と経験を補足するのが最善です。
年収証明機能は使ったほうがいいですか?
真剣な出会いを求めるなら、使えるなら使う価値があります。タップルは2025年9月よりマイナンバーカードを使った「かんたん年収証明」を提供しており、証明バッジがつくことで信頼性が可視化されます。ただし、年収証明機能がないアプリでも、正直な記入+誠実な自己紹介文でカバーできます。
参考文献
- 「全国初 マッチングアプリ「タップル」、マイナンバーカードを利用した「かんたん年収証明」を2025年9月8日に公開」 — タップル株式会社, 2025年9月
- 「マッチングアプリ「タップル」かんたん年収証明 公開に関するプレスリリース」 — 株式会社サイバーエージェント, 2025年9月
- 「マッチングアプリでモテる職業ランキング 女性人気2位は「国家公務員」1位は? Omiai調査」 — ITmedia NEWS, 2022年12月






