唇、見られてますよ——思っている以上に

スキンケアを始めた。眉も整えた。服だってそこそこ気を使ってる。なのに、なんとなく清潔感が足りない気がする。

もしかして、唇を放置していませんか。

実体験ですけど、美容部員時代にカウンターでお客さまの顔を間近で見ていたとき、真っ先に目に入るのは肌でも眉でもなく「唇」でした。ファンデーションを試すために距離が近くなるから余計に。男性のお客さまが増え始めた時期に感じたのは、唇がガサガサの人って、他のケアをどれだけ頑張っていても「惜しい……」で止まってしまうということ。

All About と花王の共同調査(2017年)では、唇が荒れている人は男女ともに「疲れている」「不健康そう」「4〜6歳老けて見える」と評価される傾向が出ています。しかも男性の場合は女性より「怒っているように見える」「意地が悪そう」といった内面へのネガティブ印象まで加算されるという結果でした。

ちょっとショックな数字ですよね。でも逆に言えば、唇をケアするだけで印象が一段上がる余地がある。コスパで言ったら最高の投資先です。

そもそも男性の唇はなぜ荒れやすいのか

唇って、肌とはまったく構造が違います。

資生堂の公式情報(2025年)によれば、唇には皮脂腺と汗腺がほぼ存在しません。つまり、肌のように自前の油膜で水分を閉じ込めることができない。角層も顔の皮膚の3分の1ほどしかなく、バリア機能がとても弱いんです。

それなのに男性は、リップクリームを塗る習慣がない人が多い。加えて、無意識にやりがちなNG行動が荒れを加速させています。

よくあるNG習慣はこの3つ。

  • 唇を舐める——唾液が蒸発するとき、もともとの水分まで一緒に奪われる(蒸散作用)。舐めれば舐めるほど乾く悪循環
  • 皮をむく——傷口から水分が逃げて、さらにガサガサに。色素沈着の原因にもなる
  • 口呼吸——唇が常に外気にさらされて乾燥が進む。マスク生活で口呼吸グセがついた人は要注意

心当たり、ありませんか。これ、私もやったんですよ。冬場に唇の皮が気になって、つい剥いてしまう。翌日さらに荒れて、また剥く。この無限ループを美容部員1年目にお客さまから指摘されて、ようやく止められました。

ステップ1:リップクリームを「正しく」塗る

「リップくらい塗ってるよ」という人も、塗り方を間違えているケースが多いです。

よくある間違いが、口紅のように横にスーッと塗るやり方。唇のシワは縦方向に入っているので、横塗りだとシワの溝に成分が入り込まない。保湿効果が半減します。

正しい塗り方はこう。

  1. リップクリームを体温で少し温める(硬いまま塗ると摩擦で唇を傷める)
  2. 縦のシワに沿って、上下に小さく動かしながら塗る
  3. 唇の輪郭(リップライン)まできちんとカバーする

塗る回数は1日3〜5回が目安。食後と就寝前は必須です。塗りすぎると唇が自力でうるおう力を失うという説もありますが、美的HENのヘアメイクアーティストKUBOKI氏も「男性は塗らなさすぎが問題」と指摘しているので、まずは回数を増やすことから始めて大丈夫。

ステップ2:リップクリームの選び方——迷ったら「医薬部外品」

ドラッグストアに行くと棚一面がリップクリームで、正直どれを買えばいいかわからないと思います。

ざっくり分けると、リップクリームには3つの分類があります。

  • 化粧品——保湿メインの日常使い用。健康な唇を維持するのが目的
  • 医薬部外品(薬用)——荒れ予防成分が入っている。グリチルリチン酸やビタミンE配合が多い
  • 医薬品——すでに荒れてしまった唇を治すためのもの。アラントインなど修復成分入り

「今まさにガサガサ」なら医薬品。「荒れを防ぎたい」なら医薬部外品。「とくにトラブルはない」なら化粧品。2026年6月現在、ドラッグストアで手に入る薬用リップはだいたい300〜600円台。缶コーヒー数杯分で唇の印象が変わるなら、試さない理由がないですよね。

メンズ向け製品はマットな質感に仕上がるものが多く、塗ったあとのテカりが気になる人でも使いやすい設計です。無香料タイプを選べば、仕事中に塗っても周囲に気づかれません。

ステップ3:夜の「リップパック」で翌朝が変わる

日中のリップクリームに加えて、寝る前にひと手間かけるだけで唇のコンディションは劇的に変わります。

やり方はシンプル。

  1. 蒸しタオル(濡らしたタオルをレンジで30秒)を唇に10秒あてて、やわらかくする
  2. ワセリンまたはリップバームをたっぷり塗る——「ちょっと多いかな」くらいが正解
  3. 上からラップを小さく切って貼り、5分放置
  4. ラップを外したら軽くティッシュオフ。そのまま就寝

正直に言うと、私がこのケアを始めたのは美容部員2年目の冬。唇の荒れがひどくて口紅の試し塗りもできない状態だったとき、先輩に教わった方法です。翌朝の唇がぜんぜん違って驚きました。週に1〜2回で十分なので、面倒くさがりの人でも続けやすいと思います。

ワセリンは薬局で数百円。チューブタイプなら持ち運びもできます。

唇ケアは「足し算」ではなく「引き算」から

ここまで3ステップを紹介しましたが、一番大事なのはステップ1以前——つまり「唇を舐めない」「皮をむかない」というNG習慣をやめること。

どんなにいいリップクリームを塗っても、舐めて蒸発させたら意味がない。まずは引き算。その上でリップクリームという足し算を重ねる。この順番が本当に重要です。

ビタミンB2やB6が不足すると口角炎や唇荒れを起こしやすくなることもわかっています。普段の食事で卵、納豆、レバー、バナナあたりを意識的に摂るだけでも、内側からのケアになります。

唇は顔のなかで面積は小さいけれど、印象への影響は大きい。スキンケアや服装を頑張っている人こそ、この「最後のピース」を埋めてみてください。リップクリーム1本で清潔感が一段上がるなら、やらない手はないですよね。

FAQ

リップクリームを塗ると「女々しい」と思われませんか?

メンズノンノの2026年最新特集でもメンズリップケアは定番として紹介されています。マットタイプの無香料リップなら見た目にわからず、テカりも出ません。清潔感のケアであって化粧ではないので、歯磨きと同じ感覚で大丈夫です。

色付きリップを使ってもいいですか?

血色が悪くて顔色が暗く見える人には、ほんのり色づくタイプはむしろおすすめです。ただし最初は無色の薬用リップから始めて、慣れてきたら試すくらいのステップで十分。いきなり赤みの強いものを選ぶと浮きやすいので注意してください。

リップクリームはいつ塗り直せばいいですか?

食後・飲み物を飲んだ後・外出前・就寝前の4タイミングが基本です。乾燥がひどい人は2〜3時間おきに塗り直してもOK。ポケットに1本入れておく習慣をつけると忘れにくくなります。

唇の皮むけがひどい場合、リップクリームだけで治りますか?

軽度なら医薬品リップ(アラントイン・グリチルリチン酸配合)で改善が期待できます。2週間以上ケアしても改善しない場合は、接触性皮膚炎やビタミン欠乏の可能性もあるので皮膚科を受診してください。

参考文献